ウミタナゴの釣り方(タックル、仕掛け、ポイント、エサ)

ウミタナゴ(本タナゴ)
ウミタナゴ(本タナゴ)
ウミタナゴ(本タナゴ)撮影:くまさん

ウミタナゴは川の5センチ前後のタナゴと良く似ていて、このタナゴと区別するために「ウミタナゴ」と呼ぶ標準和名。魚体は桜色、回遊する魚で、引きは強烈である。本タナゴとトクチタナゴの二種類ある。本タナゴはピンク色をしている。

トクチタナゴ
トクチタナゴ 撮影:くまさん

トクチタナゴは口が尖っており、青白く、細身で、身は柔らかく本タナゴに比べると味は落ちる。勿論ねらうのは本タナゴである。

魚の中でも珍しく胎生魚で、尾の方から産み落とす逆さ子が多く、夏から秋にかけて釣ったタナゴには小さな稚魚がお腹の中に入っている。(そのため産卵が終わるとスカスカになりあまりおいしくなくなる)

産卵が近づくと、磯や海藻のある岸壁近くにより産卵が終わると沖に移動する。釣り場所は、比較的荒々しくなく、潮通しが良く、ゆっくり波が上下するところがよい。また、上げ三分、下げ七分の潮、少し濁っている程度が最適。

当地では、普通、5月から初夏までが面白い釣り期であるが、鮫魚市場の蕪島よりにある通称”旧内務省岸壁”に、初めて姿を見せると言われている。しかし、水温が高いときは4月中旬から釣れた経験がある。11月初めの頃までは磯にいる。

八戸地方では、漁港の岸壁で手軽に釣ることができることから、岸壁に大勢の釣り人が押しかけ、他人のまいたマキエに集まった魚をちゃっかり釣っていたり、割り込みなどマナーが悪い。最低限のマナーは守りたい。タナゴ釣りは、”尺物”を釣って初めて一人前のタナゴ釣りと言える。

■ウミタナゴ用の竿(ロッド)、リール

渓流や川で使う万能竿、4.8 m~5.4 m 程度の長さ。最近は、工事でだんだん岸壁が高くなり、短い竿では、魚のいるタナに届かなくなってきているので、長い竿を使っている人が多い。基本的には、釣り場の高さに合わせて竿を用意すれば理想的。

この点、1号程度の磯竿に小型の両軸受けリールを付けた場合は釣り場のあらゆる高さに対応できる。また、腕前が上達したら、ヘラ竿を用いると、タナゴの強烈な引きを楽しむことができるが、魚が針掛かりしたときに、寄せ餌で集まったところから離すように竿を操作しないとせっかく集まった魚が散ってしまうことになる。

また、竿を自由に操れるようになるまでは、また、周りに釣り人の多い場合はへら竿はやめた方がよい。

■ウミタナゴ用の仕掛け・ライン

タナゴは憶病なため集団で回遊する。従って、警戒心が強く、仕掛けの糸の太さにも敏感であるので、できるだけ糸の細いものを使う。道糸 1~1.5号、ハリス 0.6~0.8号、錘は両側にヨリモドシがついた図に示した形のものを用いる。特にハリスは、細く、信頼性のある高級品を使うと強度の点で稼ぐことができる。

針は、タナゴバリ3~6号程度のものを常に準備したい。魚の型が小さいときや食いが悪いときは小さいものを使うと良い。錘は、前にも記したように、竿の調子で、あまり軽いか重すぎると錘の負荷を手元で感じなくなり、特に、ミャク釣りで錘の上下する状態が感知できないので、自分の竿の調子に合わせて準備する。

(0.8号から5号程度)また、その場の状況に応じて、常に仕掛けを変えたいので、何種類かの糸の太さや針の大きさを変えて作った仕掛けを仕掛け枠(市販されている)に巻いて準備したい。磯竿用の仕掛けは、仕掛けを長めに作ってこの部分を状況により交換するとすばやく対応できる。大物だけをねらうときは、針の大きさ(6号)、糸の号数は大きめにする。

■ウミタナゴの釣り方

(1)ミャク釣り

ウキを付けないでたらし、魚が当たったとことを穂先から伝わる感触でとり、合わせることから脈を取るのと同じなのでミャク釣りという。

仕掛けは、ヨリモドシ付きオモリ(0.5-2 号程度)に、0.6-1 号程度のハリス 30~40 cm に、3~5 号程度のタナゴバリを結ぶ。オモリの大きさは、ロッドのオモリ負荷におおじて選定するが、常に、ロッドを上下させて誘うので、このとき、手にオモリの重量感が伝わるものを選ぶ。

あまり重すぎると魚の当たりをとれなくなる。仕掛けを上下させているとき、「ツン」とした感触のとき合わせる。上下させているので自然に魚が掛かってしまう(向こう合わせ)ときが多い。魚が餌を口にくわえて深い方や横に逃げる場合は簡単に当たりがとれるが、水面の方に餌を運ぶ状態(食い上げ)では一瞬錘の負荷が軽くなり、このとき、竿を軽くシャクってあわせるが、慣れないとこの感じをつかむのは難しい。

(2)玉ウキによるウキ釣り

玉ウキ(シモリウキ)を何個か付けて、水中と水面にあるようにし、このウキが移動する瞬間に合わせる釣り方。関東地方では一般的な釣り方。多分、波に強いこと、視認性が良く、当たりもとりやすいと思われる。

(3)ヘラウキなどの棒ウキによるウキ釣り

ヘラブナ釣りは、数ミリのウキの変化に合わせるもので、ヘラブナの当たりが小さいことから、この種のウキは、感度が良くできている。仕掛けはミャク釣りと同様であるが、ヘラウキが波と共に波間にたち、上下するとミャク釣りでシャクるのと同様な効果になる。

この釣りの特徴は、常に、ウキを監視する必要があるが、ヘラウキが美しく、情緒がある点では一番と私は思っている。ヘラウキは、本来、沼や川で使用されるので、海のようにコンクリートや波の動きのあるところでは、耐久性に乏しく、壊れやすいので、後に述べる自作の浮きに示すような工夫をして使うと先端部が折れにくくなり、長持ちする。

仕掛けは、基本的には他のものと同様であるが、ウキの調節を板オモリで行うところが違うところである。現場で錘の調節はやっかいであるので、予め風呂場などで調節した仕掛けを準備して、仕掛け枠に巻いておくとすばやく対応できる。

合わせはウキが沈んだときに合わせる。このタイミングを逸するとエサだけとられることになる。感度の良いウキほど、小さな引きで敏感に反応するので、魚が口にくわえ、様子を見ている当たりの前兆も判別できる。魚が掛かったときは、竿の弾力を利用するため、竿は垂直から少し後方に立てるようにする。

・玉アミは必需品。細いハリスと道糸なので無いと大物を逃すことになる。大物はあわてて取り込まず、竿を垂直に立て魚が疲れるまでやりとりし、辛抱する。

タナゴ釣り仕掛け ミャク釣り
タナゴ釣り仕掛け ミャク釣り
タナゴ釣り仕掛けウキ釣り
タナゴ釣り仕掛けウキ釣り

ハリスは潮の流れに乗せ、餌が自然と流れるように、 普通より長めにとっている。ハリを錘の上に1本追加しても良い。竿は、磯用ヘラ竿4.8m, 岸壁用ヘラ竿3.6m、岸壁用磯竿1号5.4mを常に携帯している。磯竿用には、針2本付き浮き釣り用仕掛けあるいはミャク釣り用を作り、各2セットは常備している。

■ウミタナゴの餌(八戸地方)

●イサザ

砂浜の波打ち際にいる透明なエビの小さいようなもの。白浜海岸などで目の小さい網(市販されている)ですくうことができる。木箱などに湿った砂の上にいれ、布きれなどをかぶせてクーラーに入れておくと良い。

●ピョンピョン虫

最近使われているようになった。砂浜に打ち上げられたコンブの下にいる。昆布と砂を両手でつかみ、ビニールの袋にそのまま入れると一網打尽にできる。飛び跳ねる虫。餌持ちがよい。

●エラコ

尾の黄色く柔らかい部分を2~5 cm 程度に切ってハリにさして使う。大物のタナゴをねらうときに効果的で、エラコを一つ、黒い頭を切り落としてつけても良い。

・エサはエラコの柔らかい部分をハリを隠すように差す。大物をねらうほど長くて良い。エサザは3-4匹房掛けする。エサザの場合は、数は釣れるが小さめの本タナゴかトクチタナゴが多い。

■まき餌

最近、オキアミをそのまま使う人が多い。オキアミは軽いので流れやすく散らばってしまい、マキエの効果の持続性が悪い。また、トクチタナゴが寄る傾向がある。

砂浜の貝殻混じりの砂(白浜海岸などに波打ち際から少し入ったところにある)と市販の粉末状の撒き餌(アジ用など、何でも良い)、オキアミを少し混ぜ海水で溶いて使うと、適当にオキアミが砂と一緒に沈み、一カ所に魚がとどまる確率が高くなる。また、岩などについているシュウリ貝をとってつぶしてオキアミを少量混ぜても良い。マキエは絶対必要。

【まき餌の作り方とまき方の例】

シュウリ貝をとり、金槌か手の平大の石でつぶす。これをバケツに入れ、前述の砂と粉状の市販のまき餌を適当に入れる。この中にオキアミを一握りぐらいの量を入れ、海水を加えて良くかき混ぜる。シュウリ貝がないときは、砂を多めに入れる。シュウリ貝は釘抜き付きの金槌の釘抜き部で岩からかき落とすと良い。結構良く取れます。

魚がマキ餌につられて集まるのに時間がかかるので、まず釣り場についたら、マキエを作り、まき餌用ひしゃくで最初は頻度を高くしてまく。まいてから仕掛けや竿の準備にとりかかる。釣れ出したら、魚が散らないように適当な間隔でまく。ただし、余りマキ餌をまきすぎるとマキ餌に群がり、本物のエサに食いつく時間が無くなってしまう。マキエは多からず少なからず。


金槌の釘抜き部分でシュウリ貝をかき落とす

■ポイントの選定

ポピュラーな釣り場は、漁港の防波堤の突端で、比較的波が穏やかで、潮通しが良く、コンブがあるところが良い。磯でも、このような条件に合えば大物が期待できる。

  • 鮫漁港北端旧内務省岸壁、鮫漁港赤灯台など周辺、大蛇漁港から階上漁港、種市などの漁港
  • 八戸港湾内 特に、沖の防波堤、かなり長期間楽しむことができる。
  • 夢の大橋の真下、八太郎大橋側(ただし、楽しむだけで魚は若干油臭い)
  • 潮通しの良いウミネコライン沿いの磯、 大物が期待できる

【私の海タナゴ釣りお気に入りセット】 磯専用

●カーボンヘラ竿4.8m,道糸1号、ハリス0.6か0.8号、40~50cm,タナゴハリ6号か同程度の大きさのチヌ針、餌 生エラコ、
負荷錘0.5号、自作自立浮き使用

■へら竿に仕掛けをセットしたまま

釣り場に着き、布製の竿ケースからへら竿を取り出し、仕掛けを外し、竿を引き延ばし、ウキを付け、餌をつけて釣り開始
ステンレスの針金を図のように曲げ、ビニールテープを竿に一巻きし、その上にステンレス針金を置きテープで固定。

針金を曲げて竿の両端にビニールテープで固定

ここに道糸を巻き付け、ハリはガムテープで固定

■ウミタナゴの料理

私は、塩焼きが一番好きです。鱗をおろして、内臓を取り、表面と、内部に塩を適当にすり込み、一晩冷蔵庫に入れて保管します。塩加減は何回か経験するしかありませんが、適当にやっても失敗したことは余りありません。高価ですがおいしい天然塩を使うと味も格別です。尺に近い大物は三枚におろして刺身で食べても結構いけます。

※この記事は小山信次氏の許諾を得て公開しています。

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